給湯流茶道

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【茶会レポ】給湯流ワビサビジネススクール第1回「縄文時代のマーケティング」

ゲストスピーカーに古美術の祥雲 関隆さんを迎えた第一回「縄文時代のマーケティング」レポート
エレベーター前でお茶会!?給湯流茶道「ワビサビジネススクール」

日頃ビジネスという戦場で闘うサラリーマンとOLへ向け、リフレッシュのために「給湯室でお茶会をしてみよう!」と提案する流派・給湯流茶道。その給湯流茶道が、日本文化の講義と茶会実習を組み合わせた講座「ワビサビジネススクール」を開校。第1回が6月10日渋谷UPLINK ROOMで開催された。今回はUPLINKエレベーター前で催された茶会、そしてゲストスピーカーに古美術「祥雲」の関隆さんを迎えたトークショーの模様をレポートする。

給湯流茶道とは

茶道が確立された利休の時代、茶会の主な参加者はサムライでした。斬った斬られたの戦地の中で、お茶を飲みリフレッシュしたのです。
利休から400年。現代のサムライといえばサラリーマンとOL。社会で戦う彼らこそ今、お茶会をすべき!給湯流茶道はサラリーマンとOLへ、戦地・オフィスビルの給湯室で抹茶をたてよう!と提案をする茶道集団です。
http://www.910ryu.com

給湯流茶道が、「ワビサビジネススクール」を開校!

外国人に「日本文化ってなに?」と聞かれたとき、さらりとコンサルできるサラリーマン、OLを育成する初心者向け日本文化トークショー・茶会シリーズです。

縄文時代にもマーケティングがあった?など、サラリーマンが大好物な視点で、日本文化専門家がおもしろ講義。茶道の大切なコンセプトのひとつ「侘び寂び」についても、なんとなくわかってくる裏テーマもあります。

UPLINKの廊下を茶室に見立てた、給湯流茶会も開催します。

次回は9月1日夜7時スタートです。漆職人から漫画家になった経歴をお持ちの堀道広さんに漆工芸について初心者向けにおもしろトークいただく予定です。

堀さんは、パンラボ「パンの漫画」「耳かき仕事人サミュエル」のほか、なんと!部活で漆塗りをする高校生の青春漫画「青春うるはし!うるし部」などの作者。堀さんの漫画ファンのかたも、ぜひお気軽にご来場ください。
http://www.uplink.co.jp/event/2012/955

ワビサビジネススクール1時限目:
給湯流「エレベーター・トーク」茶会

前半は、茶会ワークショップを行いました。
UPLINK2階の、エレベーター前を茶室に見立て、茶会を敢行。

利休は、2畳にも満たない小さな茶室をわざとつくり、華やかな大勢の茶会と一線を画す侘びた茶会を好みました。UPLINKのエレベーター前の狭い場所も、みなさんで正座をすればあっというまに「侘び茶室」になる!ということで、この場所をおかりしました。
「茶会」がはじまるとともに美女が突如、パンプスとIDカードをぬぎすてる!?

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利休のころデザインされた茶室では入口をわざと狭くし、武士が刀をはずさないと入室できないようにしました。武士のアイデンティティーである刀をはずさせ、茶室の中で商人も武士も平等だというメッセージだったといわれています。

サラリーマンやOLの「刀」といえば、社名がかいてあるIDカード。
給湯流では昼休みだけIDカードをはずし、会社の肩書きを一瞬忘れて茶会をしようと提案しています。

「茶室」に入室すると、まずお菓子が出されます。伝統的な茶道では、まんじゅうとか羊羹など大皿に入っていて、ひとりずつお箸でとりわけることが多いです。しかし!給湯流では、大きいお菓子を出します。

今回は、なんと協賛(!)してくださった、香川のお菓子屋さん「くつわ堂」の瓦せんべいをご用意しました。

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A4サイズくらいある巨大なせんべいを、自分が所属する職場の組織に見立て、ガッツリ空手チョップで割って食べちゃおう!という流れです。

今度は美女が、せんべいをWARU!!!!!

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「瓦せんべい」は和三盆をつかった甘くてかみごたえのある、とてもおいしいお菓子です。最初は、出張先の高松空港で見つけて度肝をぬかれて思わず購入。今では通販でリピーターと化しております。

みなさまもぜひお試しください(モミ手)

くつわ堂
http://www.kutsuwado.co.jp/

お菓子と抹茶をいただいたら、今日の茶会のテーマをお話します。
伝統的な茶道では、茶会のテーマになる掛け軸を床の間にかけます。

給湯流では、オフィスビルにある様々なものを掛け軸に見立てます。そう、今回はエレベーター自体が「掛け軸」です!!!!!!!


ビジネス用語に「エレベーター・トーク」なるものがあります。
会社のエレベーターで偶然、社長や偉い人にあったとき、自己アピールを短い時間でできる話術をみにつけよう、というもの。

もとはシリコンバレーの若いエンジニアが、偉い人が乗るエレベーターに偶然居合わせたふりをして乗り込み、自分のアイディアを売り込んで投資してもらったエピソードが語源だとか。

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エレベーターの前で正座をして茶会をやっていると、UPLINKに映画を見に来たお客さんがおりてきてハプニングもおこります。

縄文スポットのひとつ「大森貝塚」も、当時動物学を東大に教えに来ていたモースが、電車の中からこんもりしたものを偶然見かけたのが発見につながったそうで、これもまさにエレベーター・トーク的な話です。

今回の縄文講義と、突然やってくる、職場でのハプニング的な鉢合わせも楽しんでいこうぜ!という願いもこめた「エレベーター・トーク」茶会となりました。

【<エレベーター・トーク茶会>動画も公開中。お時間あればどうぞ】


[写真撮影/清水惣資]



ワビサビジネススクール2時限目:
古美術「祥雲」関隆さん「縄文時代のマーケティング」トークショー

2時限目は、銀座で古美術のお店をかまえていらっしゃる関さんに、縄文土器のトークをしていただきました。

なんと!本物の縄文土器をご持参くださり、お客さんがじかにさわれる大盤振る舞いぶり!お客さんの血眼ぶりがハンパなし!!!

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ここからは、関さんのトークをお楽しみください。

【縄文土器はプリミティブではない。軽くて丈夫、漆も塗っていた】


「縄文時代は1万年以上続きました。1万年前に焼き物を作っていたというのは、世界でも最古級です。
土器は日本の自然条件が生み出したといわれています。砂漠地帯では作成が不可能だったんです。

縄文『土器』というと、何か野蛮なもののようなイメージがあるかもしれないのですが、さわってみるととても軽いでしょう?焼き物のなかでいちばん軽いんです。

しかも固い!水漏れがなくて丈夫。縄文土器は、日本の焼き物進化過程のいちばん最初、と思う人もいるかもしれませんが、ちがうんです。

弥生時代以降、『須恵器』『陶器』『磁器』と焼き物がいろいろでてきますが、どれも別物です。縄文土器はそれらと同じように優れているんです。

それと、縄文土器のなかには、表面に赤いものがみえる場合もあるんですね。そういう土器は、赤い漆がぬられていたんです。祭りでつかった器ではないかと考えられています。縄文時代から、漆を塗っていたんですね」。

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【自分が使いやすいかなんて価値観は、最近できたもの】


「教科書にものっている『火炎式土器』など縄文土器には、世界でもめずらしく、突起の装飾がついています。

こういった土器は、料理につかわれていたと考えられますが、日常の中でなぜそんな使いづらいものを使っていたんだろうと思うでしょう?でも、そもそも価値観が違うんです。

縄文人は、自分が使いやすいかという利便性は二の次。一番重要なのは『祈り』という価値観だったんです」。

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「たとえば、どんなに力を入れても開かないハマグリの貝が、土器に入れて煮ると簡単に開く。これは魔法に近い。縄文人は、料理にマジカルな力を感じていたのだと思います。自然の恵みに感謝をするという気持ちが、土器のかたちに込められていると思います」。

【縄文時代は食べものが豊富、戦争も少なかった】


「当時からシンプルな器をつくることもできたはずです。でもわざわざ飾りがつけられたというのは、相当、生活に余裕があったとも考えられるわけですね。

たとえば、栗。縄文時代の地層を調べると、栗の花粉がたくさん出てくる場所がある。花粉のDNAを細かく調べると、どうやら野生の栗ではなく、人工的に栽培をしていた栗のようです。
縄文時代というと、狩猟のイメージがあるかもしれませんが、暖かい気候の中でちゃんと栗を栽培していた。人口も少なかったし、食べ物には困ってなかったようです。

現在、1万体以上縄文時代の遺体が出てきているそうですが、餓死したような遺体はない。しかも遺体を詳しく見ると、先天的障害がある人も普通の人と同じように人生を全うしている。縄文人は障害者も大切に受け入れていたのかもしれません。

遺体のあったところに花粉が多くあることから、人を埋葬するときに花をいっしょにいれていたとも考えられます。

そして何よりも、弥生時代の遺体にくらべると、縄文時代は殺傷されたものが非常に少ないんですね。戦争も少なかった。縄文時代は、今より豊かな時代だったともいえるかもしれません。

弥生時代から現在の年月の長さは、縄文時代より短い。豊かな時代が長くつづいたということですね」。

【美術なんて概念は西洋のものさし。本来、縄文土器は「美術」にはあてはまらない。縄文土器には「需要」と「供給」があった】


「私の話をきいていただいて、最後にもう一度縄文土器を触って帰っていただきたいと思います。縄文土器に触れる機会は少ないですから、本で調べようということになる。そうすると視覚から入ってしまう。でも、五感をとぎすまして土器とむきあってほしいですね。『なんで、土器のここにこんな飾りがついているのか』と、考えてみてください。

美術や芸術っていうのは明治時代、近代に入ってきた、西洋のものさしなんですよ。

じつは、茶の湯とか縄文土器に、芸術や美術って言葉はあてはまりません。
とくに、縄文土器は、儀式や日常でつかうとか、当時の時代の要請の元に生まれてきたものなんですね。

現代の美術......『絵がうまく描けるので、自由に描いてみました、これがアートです』というのと、縄文土器は全然違うんです。

縄文土器には明らかに、需要と供給があった。誰かが発注して、誰かがつかうという取引のもとに作られたものですね。

神様にささげるものかもしれないし、誰かがつかうためのものかもしれない。
いわゆる『古美術』っていうのはそういうもんです。

......まあ、ここで『美術』って言葉をつかうのはおかしいので、ほかの言い方を考えてほしいですけどね。

現代美術と『古美術』は、古いものと新しいものって分け方だけじゃなくって、本質的に違うものなんです」。

縄文土器を買うにはどうすればいい?

トークショーの最後にお客さんから、ずばり「縄文土器はいくらから買えますか?」といった質問がとびました。

関さん「都内で買おうとしてもお店が3軒ぐらいしかないですね。値段は......たとえば、縄文後期のこちらの土器だと25万円」。

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給湯流「25万!!!!安くないですか?」

関さん「うちでは1万円からありますから(笑)。縄文土器を買う時のポイントは、
1:本物であると、お店に保障してもらう。
2:コンディション。壊れているか保存状態がよいかを確認。
3:時代がいつにあたるか確かめる。

たとえば中国の文化財などで漢時代のものかと思って買ったら、あとで明時代だったと判明することもあります。

ちなみに今、縄文土器を発掘した場合は国に渡さないといけません。昭和33年以降に『文化財保護法』ができて、縄文土器は国有物とされるようになりました。

だから、私どもが扱っている縄文土器は、その法律ができる前に発掘されたものです」。

1万円から手に入る古美術。博物館でガラス越しにしか見られないような土器も、関さんのお店ではじかに見せていただくこともできます。ぜひみなさんも遊びにいってみてください。

古美術「祥雲」
http://www.shouun.co.jp/

[写真/清水惣資
編集協力/北川連休(給湯流茶道) 文/谷田半休(給湯流茶道 家元(仮))]



給湯流「第2回ワビサビジネススクール」漆工芸☆輪島塗
~江戸時代のブランディング~
2012年9月1日(土)
渋谷UPLINK ROOM

18:30開場/19:00開演
料金:予約1,800円(茶会ご予約の方は抹茶・御菓子つき)/当日2,200円
ご予約は下記より
http://www.uplink.co.jp/event/2012/955

給湯流公式サイト:http://www.910ryu.com/



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